公共広告をつくる-メディア・リテラシーの視点で
多種多様なメディアが偏在する「メディア社会」を生きる今日、メディアを社会的文脈でクリティカルに読み解き、主体的にメディアを選択する能力が必要です。授業では、既存のメディアを検証し、メディアが提示する「現実」と私たちのものの見方との関係を意識化し、マスメディアから抜け落ちている視点(オルタナティブな視点)から、私たちのメッセージを織り込んだ、パブリック・サービス・アナウンスメント(PSA)-公共広告-を制作することを最終目標としました。
食べ物は“命“とつながっている
■ハンバーガー編「食べ物にも歴史があります。」
食べ物は、それが私たちの口に入るまでに長い過程を経ています。例えばハンバーグでは、長い年月をかけて育てられた牛や豚を屠殺し、工場で加工し、衛生検査された後に店頭に並べられ、人々に購入され、調理されます。その過程は私たち人間が生まれてから今まで歩んできた人生、即ち「歴史」に少し似ています。そのような歴史を持った食べ物を簡単に棄てたりせず、大切に食べようという思いを伝えたくて、この作品を作りました。
■年間700万トン編「捨てられていく命をイメージしてください。」
毎年、日本で廃棄される食べ物は700万トンといわれています。しかし、数字だけではなかなかイメージすることができません。この映像では、700万トンという数字がどれほど莫大な量であるかを意識できるよう、1秒間に捨てられる量に換算して表現しました。廃棄される食べ物は、単なる食品ではなく、生き物の「命」です。 私たち日本人が無駄にしている命の量を実感してください。
公共機関である電車において、携帯電話や音楽プレイヤー・ゲーム機の発達によって、各人の私的空間が存在している。これは電車内での時間を、各人が各人なりの「快適空間」を求めた結果により起こりうることだと考える。本来は個ではない全体としての「快適空間」を求め行動しなければいけないということを喚起させるために、この映像を制作した。
無関心
物事に対して無関心であることが問題であるということは多くの人が感じているでしょう。しかし、他人ではなく《自分自身》が無関心であることを自覚している人はそう多くはないと思います。この広告は、主人公の女性を通して日頃の自分の行動を振り返ってもらい、『まさか自分も?!』という気付きを持ってもらおうという思いから作られました。