ヒューマン・ドキュメンタリーについて
入学後初めて作品を制作するこの授業は、「人間」観察から始まります。カメラを持つと、ファンインダーに見えるものしか見ません。まずは、カメラを持たずに人間観察し、取材対象となる人物とじっくりコミュニケーションをとり、「ラポール」((心を開き合う状態)を作ることに集中します。この授業の目標は、「人物を多面的に捉えること」です。取り上げる人物は何をしていて、どのような環境で生活しているのか。人物の魅力はどこにあるのか。何にこだわって生活しているのか。 夏休み前の映像基礎D 1では、人間発見・観察→取材・調査→その結果の発表→企画書作成の順序で進行し、夏休み中に撮影します。後期の映像基礎 D 2では、ラッシュ発表→構成発表→あら編発表→最終発表→講評を経て、作品を完成させます。

   
匠の道程
 
浦島俊行 杉野剛士 福島詩乃 新井田一真
  能面師 長澤流3代目 長澤重春—今や、我が国の伝統芸能は序々に衰退していると言えるだろう。その中で、重春は人間国宝である初代長澤流・氏春を祖父に持ち、中学校卒業後から能面師の世界に入り、父・浄春に師事する。
能面は、能楽とは切っても切り離せない装身具の1つである。その能面を作り始めて30年、重春はどのような気持ちを抱いてきたのか。
2008年、猛暑が続く夏の間、重春を追った。
おもちゃのお医者さん
 
13分21秒 大森繁 濱田光太郎 林咲希 洪智恩 柳田慎太郎

高橋一三、77歳。「浦和おもちゃの病院」のお医者さん。
 メンバー28名と共に、埼玉県浦和区内を巡回し、人々の壊れたおもちゃを無償で修理している。修理する数は年間700以上。ひっきりなしにお客さんが来る。高橋は病院の代表として、メンバーをまとめ、他の病院との交流も行い、「会社員の頃より忙しい」毎日を送る。その原動力はお客さんとメンバーの笑顔。メンバーにも地域の人々にも、かけがえの無い居場所となった病院を支える高橋を追った。

Song and Bowzman  
 
12分49秒 安川央里 若松伸吾  柿沼真紀 近松恭子
 

僧侶でもあり歌手でもある北条不可思さん46歳。一時メジャーデビューを果たした彼だったが、今では「命の尊厳」を歌いSong and Bowzmanとして僧侶=表現者として活動している。彼が商業音楽を捨てた理由とは何なのだろうか…そして彼が思い返した理由とは…。

鎌倉の街を風が走る〜車夫・青木登〜
 
8分30秒 錫木公孝 逸見幸次 山口理紗子 遠藤絵美
 

青木登、59歳。彼は鎌倉で観光人力車を始めた第一人者だ。東関東初となる人力車業界をパイオニアとして駆け抜けた。それは遅咲きの青春のようなもの。彼が人力車と駆け抜けたその日々と信念を約9分にまとめた。きっと、今、やりたい事や夢を仕事にしたい人、物事を諦めかけている人に、なにか訴えかけるものがあるのではないか。
 車夫・青木登を追った、短編ヒューマン・ドキュメンタリー。

Born To Run ~23歳の決断~
 
 17分10秒 木村衣呂葉 久保真如 高木雄一郎 橋本浩一
  1951年、力道山が彗星の如くデビューして以来、プロレスは人々の元気の源として生活に根付いてきた。それから57年―――様々なエンターテイメントを簡単に得られようになった事で、人々を奮起させた動力源であるプロレスにも人々は注目しなくなった。その風潮に反抗するかのようにプロレスに青春をかけてきた東大院生がいる。小林佑太、23歳。
プロレスラーDT-YUTAとして、憧れのプロレスラーと学業を両立させてきた小林。このままプロレスラー一本で働いていくのか、それとも別の夢を追いかけるのか。
2008年8月。小林にとって決断の夏が迫る。
森の学校 なつこ先生
 
勝矢仁美 福田彩乃 山本直毅
  「机の上ではわからない、体で体験するからわかること」
キャンプ指導者 服部奈津子。
小学校時代のキャンプ体験がきっかけとなり、この仕事を選んだ。
責任を持つ立場となって3年。子供達が本当に楽しめているのか不安を抱えていた。
それでも体全体で子供達に向きあう彼女。その姿を追ったドキュメンタリー。
 
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